声を上げられる環境を

先日、ある会社さんでコミュニケーションをテーマとした研修を実施した際に、参加された管理職のお一人からこんな感想をいただきました。

 

「いつも業務が逼迫している職場でのコミュニケーションを考える上で、自分も含めて“もう無理です”と声を上げられる雰囲気を作っていくことはとても大事なことなんじゃないかと思いました」

 

厚生労働省が毎年実施している「労働安全衛生調査」の統計(令和4年)においても、「強い不安、悩み、ストレスの内容」で多かったのは「①仕事の量」「②仕事の失敗、責任の発生等」「③仕事の質」の順でした。

少子高齢化にコロナの影響が加わって人手不足はさらに深刻となり、一人ひとりの仕事の量が増えていることは否めません。

 

私自身も以前働いていた職場はとても忙しく、多い時には月に100時間をゆうに超える残業をしていました。「もうこれ以上は無理だ…」と思っても、周りも同じような働き方をしていたことや、「無理と言ったら、他の人にさらに負担をかけてしまうのではないか?そして私は仕事ができない人間だと思われてしまうのではないか」と思い、声を上げることができませんでした。

(そして結局身体を壊してしまい、回復に長い時間がかかってしまいました)

 

生きていると、仕事だけでなくプライベートでも自分のキャパシティを超えてしまうことは、往々にしてあるのではないでしょうか。

 

「これ以上は無理です」

心身が追い詰められても、この一言が言えずに悩み、カウンセリングを受けに来られる方も少なくありません。

そのような場合は、「~でなければならない」「~すべきだ」と凝り固まった気持ちをほぐしたり、自分の状況を相手に伝えるための上手な伝え方を一緒に考えることもあります。

 

ですがまずは、先ほどの研修の感想にもあったように「声を上げられる雰囲気(環境)」があることが大切だと思うのです。そのためには、「あなたの存在は分かっているよ、気に掛けているよ」ということが伝わる日頃のちょっとした声掛けがとても大事です。

 

お互いが安心して声を上げられる環境づくりを、一人ひとりが心掛けていけるといいなと思います。

 

 

【文章作成】

オンラインカウンセリング ひまふく相談ルーム

担当カウンセラー 西田 直子(隔週金曜日22~26時担当)